株式会社NOROSHI FARM

2025/06/13 15:15

 備蓄米の放出、5キロ2000円の米に列をなす報道を米農家はどんな気持ちでみているのでしょうか。

 この数十年、地を這うような米価で、特にコロナ禍のときのJA概算価格30キロ5000円を切るようなときは、原材料高騰の煽りも受けて米農家は瀕死状態でした。私自身もマヒをしていて、直売で自分の付けた値段にも罪悪感のようなものも感じていましたし業界全体がどん底でした。

 このとき、『安すぎる米価!苦しむ米農家、日本の食糧安全危機!』みたいな米農家サイドに立った過熱報道がありましたか。って話です。
 私たちつくる側は人口の1%です。それゆえに圧倒的に声が届きにくいのは理解できます。だからといって『市場原理だ。米余りだから安いの仕方ない。飼料や麦・大豆を作れ』と誘導され、今度は『米不足だ!増産だ!なんで米が高いんだ、困るだろ!』の結果、備蓄米5キロ2000円で無制限に放出は全米農家が泣きますよ。

 米政策を語る政治家には、一度自分が投下した資本でいったいどれほどの米が獲れるか経験してほしい。と感情論も言いたくなります。

 誰が目先の票あつめの犠牲になっているのでしょうか?誰がこの国の食料に対してリスクを負っているのでしょうか?まだまだ日本は豊かですよ、5キロ4000円、茶碗一杯50円程度で最高品質の米が食べれるのだから。一杯50円で預けられる命、みなさんはどう思われますか。私にいわせれば「命」のほかに「おいしさ」という付加価値もついて50円は安いともいえます。

 「食料危機」なんて言葉はほとんどの方は信じないし、どこか遠い国で起こっていることくらいにしか思わないでしょう。でも、気の生産者ほど現場では感じていますよ。たった1%の小さな小さな心の声なので届いていないだけです。担い手にのしかかる負担はまもなく限界を迎えます。政治が生産現場を見てくれないなら、私たちで声を届けるしかないんです。「農協が悪、卸業者が悪」は問題の本質からは全く逸れた議論です。

「誰がつくるのですか?誰に命を預け未来の食を託すのですか?」

そういう話なのです。